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〜支援報告〜令和6年能登半島地震、被災地のペット支援

特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

この記事について

 いつもarigatobankの企画へご支援をいただき、ありがとうございます。今回は、令和6年能登半島地震をうけ、被災したペットたちの支援に従事するピースワンコ・ジャパンにお話を伺いました。ピースワンコ・ジャパンの運営元であるピースウィンズ・ジャパンは、発災同日より災害救助犬チーム、医師・看護師やレスキュー隊員を含む緊急支援チームを現地に派遣し、支援を続けています。犬の保護・譲渡活動を行うピースワンコ・ジャパンも、ペット支援に必要な物資を集め、1月8日より支援を開始したとのこと。

発災から3カ月、現在までの被災地のペット支援について

―― 1月の地震発災当初、ペット支援はどのように始まったのでしょうか?

「1月8日、ペット支援を行うため必要な物資を車に詰め込み、スタッフ3名を派遣しました。ペットと共に避難されたご家族は避難所の同じスペースに入れないことも多く、隔離された場所で過ごしている方もおられるということで、2日間で7箇所の避難所を回り、ペットとご家族の健康状態を確認しながら、物資支援と現状の調査を行いました。また、市役所・保健所や動物愛護センターなど各所との調整を進めつつ、今後の連携と支援方法について検討しました。」

―― ペット同伴での避難はどのような状況でしたか?

「珠洲市の避難所の一つである正院小学校を訪問した際、下駄箱横のスペースにヨーキーと共に避難されていたご夫婦は、『自宅は床も棟も落ちてしまってとても住める状態ではない。いつも一緒に過ごしているこの子を置いていくのは、心配でとてもできなかった。ペットがいるので玄関のスペースに移動することになり、これから冷え込むのでどうなるか心配だが、野ざらしでないだけまだありがたい』と話されました。他にも、避難所の下駄箱スペースで柴犬と寝泊まりされる男性などにお話を伺い、同じく今後についての不安を話されました。」

―― ペット用の物資は足りていたのでしょうか?

「1月9日時点ではフードやペットシートは足りている印象があったものの、長引く避難生活を考えて追加で必要になる物資を含めリストを作成し、介護・療法食や衛生用品、ペット生活用品、新聞紙やレジ袋などの避難所で必要となる消耗品、ケージやクレート、サークルなど、様々な物資をハイエースに入るだけ積み込み、10日には二次隊として2名のスタッフを派遣しました。引き続き避難所を回り、物資を配りながらペット支援のニーズを調査しました。」

―― ペット支援において、どのような要望がありましたか?

「11日に避難所となっている小学校の駐車場を訪れると、ワンコと共に車中泊を続けている方々がおられました。ペット連れのご家族は、同じ避難所の空間で一緒に過ごすことがなかなか難しい現状です。14歳のダックスと車で過ごされていた女性は、『自身の親も介護が必要で一人にできない。この子の体調も心配なので、落ち着くまでのしばらくの間、預かってもらえませんか? 必ず迎えに行きますから』と話されました。ワンコは食欲もあり元気でしたが、様子をこまめに確認しつつ搬送の調整をすることになりました。」

―― 一時預かりのご相談があったということですね。その後を教えていただけますか。

「昨年新しく開設した浜松譲渡センターで受け入れることになりました。高齢で病気もあることから、様子を見ながらの移動となります。飼い主さまに今後のことや保護する施設についてご説明し、安心していただけたようでした。到着後は、スタッフ間で体調管理や情報共有をして、飼い主さまにも安着報告をしました。ご飯の時もジャンプするほど喜んで完食し、体調面も問題なく、大切にお預かりしています。また、ペット緊急一時預かりの相談フォームを開設してペットの一時預かりを開始し、他にも黒柴のワンコも受け入れることになりました。」

―― 犬以外のペットについてはどのような支援が行われていましたか?

「1月2日から早々に現地入りされていた『日本レスキュー協会』さまと連携し、犬猫その他を問わず、エリアを手分けしてペットの捜索活動や物資支援に回りました。また、ペット緊急一時預かりの相談フォームからも何件かお問い合わせあり、珠洲市内のご自宅付近で猫3匹と共に車中泊をされていた飼い主さまは、『一緒に車で避難をしていたが、家と違う環境で猫がストレスを感じていた。倒壊が心配な家の中に戻すことはできないし、このまま車中泊を続けていくのも体調が心配でどうしようかと毎日悩んでいた。この子達が安全な場所に行ってくれると安心する、本当にありがたい』と話され、3匹を預かることになりました。」

「猫の預かりに関しては、日ごろから猫の保護活動を行っておられる『ネコリパブリック(通称:ネコリパ)』さまへと引き継ぐことになりました。能登地震被災者の方からの預かり支援も発災直後から行われていて、この度のご相談も大変快く引き受けてくださいました。金沢まで迎えに来てくださり、ネコリパさんに引き渡しをすることができました。落ち着いてご飯も食べることができていると、その後の様子もお伝えくださり、飼い主さまにも安着の連絡をしてくださいました。」

―― ペット同伴での避難が難しく、お困りの方々が多かったということですね。その後専用の避難所を開設したとお聞きしました。

「はい、1月28日、珠洲市と調整・準備を進めていたペット専用の同伴避難所が、遂に飯田公民館に開設されました。発災からおよそ1カ月経ったこの日、新しく開設されたペット専用の同伴避難所に2組のご家族が、愛犬と共に別の避難所から移動されてきました。両家族は以前からの知り合いで、ワンコ同士は散歩仲間。地震が起きてからは同じ小学校の避難所の玄関先で、ずっと一緒に過ごされてきました。ペット同伴避難所では、少しでも周囲に気兼ねすることなく、ご家族が安心して暮らせるように、テント内に段ボールベッドと、それぞれのペットに合った大きさのゲージを設置しました。犬、猫のフードをはじめ、ペットに必要な物資も取り揃え、避難所内で過ごされる方だけでなく、自宅避難者や車中泊をされている方々も自由に手に取ることができます。現在は犬や猫などのペットと共に入居されている方々が数家族・10人ほど暮らしており、別の避難所の方々も物資を受け取りに来られ、多くの方が利用しています。」

―― 学校や仕事が再開し、仮設住宅への入居なども始まるなか、ペット支援で求められていることも変化しましたか?

「平日は仕事、週末は自宅の掃除など、飼い主さんは家を留守にする時間が多くなることから、ピースワンコでは安心してお留守番ができるペットたちの居場所として『わんにゃんデイケアハウス珠洲』のペット預かり支援を実施しています。また、被災から2カ月以上が経った3月半ばも、市内のほとんどの地域では未だに断水状態です。人間用の給水・入浴支援は行われているものの、ペットのシャンプーができず、不衛生な状態に多くの飼い主が悩みを抱えていました。そこで、3月11日に移動型トリミングサロン事業を運営する企業とコラボレーションし、施術に必要な水・発電機を完備した移動型トリミングワゴン2台とトリマー2名を派遣して支援を実施しました。当日は、事前予約にてご相談をお受けしていた犬猫10頭分の施術を実施することができ、伸びていた爪や毛をカットし、シャンプーして身体に着いた汚れをやっと洗い落とすことができました。ほかにも2月に入り、石川県獣医師会が、能登半島の被災地を巡回し、ペット無料診療と健康相談を行うなど、被災地にも少しずつペット支援の輪が広がっています。」

さいごに

―― arigatobankユーザーへメッセージをお願いします。

「多くのご支援をいただき、ありがとうございます。ピースワンコ・ジャパンでは、令和6年能登半島地震にあたり、石川県珠洲市・輪島市を中心に複数の避難所を訪問し、物資の提供などの活動を行いました。実際に現地に向かったスタッフに聞いた話をもとに、ペットを連れての避難の実情をご紹介する記事を公開しています。また、今回の避難状況を踏まえてわかった必要な備えについてもご説明していますので、ワンちゃん・猫ちゃんを飼われている方は、いざという時のためにぜひ参考にしてください。また、今後のペット支援に向けて、ご支援をいただけますと幸いです。どうかご協力のほどよろしくお願いいたします。」

支援団体

特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
1996年に設立された日本の国際NGOで、39の国と地域で人道・災害支援を行ってきた。2019年、医療を軸とした災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”」を設立。国内では保護犬事業「ピースワンコ・ジャパン」も運営し、広島県神石高原町を拠点に、現在約2,500頭の犬を保護し、全国の「殺処分ゼロ」を目指して譲渡につなげる活動をしている。
団体公式ホームページ
令和6年能登半島地震支援特設ページ
【令和6年能登半島地震】ペットとの避難の実情と今後に向けた備え

  • ※ 写真はすべてピースウィンズ・ジャパン提供

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