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〜支援報告〜令和6年能登半島地震における支援状況

特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

この記事について

いつもarigatobankの企画へご支援をいただき、ありがとうございます。皆さまの温かい支援が、各団体の活動を支え、多くの人々や地域の助けとなっています。今回は、先日開始した令和6年能登半島地震の支援について、現地で支援活動に従事するピースウィンズ・ジャパンより現地での活動の様子をお伝えします。

現地の被害状況について

―― 能登半島地震について、現地で確認した被害状況を教えていただけますか。

「1月1日16時10分、令和6年能登半島地震が発生。同日、ピースウィンズが運営する災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”」の緊急支援チームは被災地域の一つである石川県珠洲市に向け出発しました。翌日の早朝にはヘリコプター2機を追加投入し、捜索救助や医療支援、物資支援などを行っています。地盤の隆起による陥没や地割れ、土砂災害などにより一時期は完全に麻痺していた道路状況は一部修復作業が進められていますが、まだまだ通行止めや片側通行に規制されている箇所も多く、孤立している集落もあります。」

―― 被災者の方々はどのように過ごされていますか?

「珠洲市内は、物資支援もはじまり、トイレの衛生面の問題など劣悪だった避難所の環境もだいぶ改善されてきましたが、蓄積する疲労とともに寒さによる体調不良を訴える人が増えています。地震発生直後に立ち上がった緊急避難所の多くは、生活していくには厳しく、特に寒さ対策は緊急を要するため、ストーブなどの暖房器具や簡易トイレ、エアマットなどを準備して必要な場所に届けています。避難者が少しでも安心して快適に休める環境を提供することも、長期化する避難生活に耐えなければならない方々の健康維持につながります。」

ピースウィンズの現地活動と今後について

―― ピースウィンズの活動状況について教えてください。

「珠洲市の避難所に到着したのは、発災から約24時間後でした。空飛ぶ捜索医療団は、発災2日目から未治療死を防ぐために、珠洲市総合病院と連携し、周囲に電気もトイレもない避難所にて診療にあたりました。医療支援と並行して、捜索活動も進められました。現場に入った災害救助犬「ロジャー」はハンドラーとともに倒壊した家屋で捜索活動を行い、人の気配に反応し、レスキュー隊が懸命の救助にあたりました。捜索を続け、女性1名を無事に発見・保護し、病院に搬送することができました。 また、大型トラックによる陸路でのアクセスが難しい珠洲市内には、船舶「豊島丸」での物資支援を開始しました。家屋の倒壊や土砂災害が激しい沿岸部のエリアを中心に、水や食料をはじめ、生活用品を届けました。」

―― 医療・救助・物資支援を各方面から行っているということですね。今回、1月6日にも救出があったとお聞きしました。どのような状況だったのでしょうか?

「地震発生からおよそ124時間経った1月6日に、倒壊した家屋から90代の女性が救出される奇跡ともいえる出来事がありました。緊急消防援助隊より本部に『珠洲市内にて倒壊した家屋に埋もれている女性あり』との連絡があり、ドクターの出動要請がなされました。空飛ぶ捜索医療団の稲葉基高医師と看護師チームが現地に向かい、救助医療処置を担当しました。倒壊家屋のような狭く限られた空間で処置や救出を行うには、CSM(コンファインド・スペース・メディスン)と呼ばれる、特別な救助医療処置技術が必要で、女性は倒壊した家屋のなかで処置を受け、救助され救急車で病院に搬送されました。この奇跡的な救出を、稲葉医師は『いろいろな災害医療を続けてきたけれど、ここまで完璧に処置ができた上で救出できたのははじめて。ほかでもあまり聞いたことがない。警察、消防、医療が連携して、いろいろな奇跡が重なった結果で、あとは本当に無事に元気になってくれることを祈るだけです』と振り返っています。」

―― 官民問わず、各機関が連携して救助・支援活動が行われているのですね。今後の活動はどう行われていくのでしょうか?

「 一秒でも早く、一人でも多くの人を救うためには、他機関・団体との連携が不可欠です。空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”のシンボル『矢』のように、我々は機動力をもって被災地に入っていって、リソースのある公的支援を呼び寄せる。いろいろなセクターの人が、この被災地で自分の得意な分野やできることをやっていくという支援が非常に重要で、私たちはそのハブになれるのではないかと思っています。官・民、支援団体や企業もひとつになって大きな支援体制をつくっていくことが、長期的な支援も実現させると思い、活動を続けていきます。」

さいごに

―― arigatobankユーザーへメッセージをお願いします。

「被災地では今なお断水や停電が続き、厳しい状況です。避難生活は長期化することが予想され、今後は、広域避難などの支援も視野に入れて、その時々の状況やニーズに合った支援を展開していきます。少しでも被災者の皆さんが笑顔になれるよう、細やかに隙間を埋め、人びとに寄り添いながら必要な支援を届けていきます。引き続き、皆様の温かいご支援をよろしくお願いします。」

支援団体

特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
1996年に設立された日本の国際NGOで、38の国で人道・災害支援を行ってきた。2019年、医療を軸とした災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”」を設立。国内では保護犬事業「ピースワンコ・ジャパン」も運営し、広島県神石高原町を拠点に、現在約2,600頭の犬を保護し、譲渡につなげる活動をしている。
団体公式ホームページ
令和6年能登半島地震支援特設ページ
【令和6年能登半島地震】発災から1週間の記録

  • ※ 写真はすべてピースウィンズ・ジャパン提供

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